京王バス路線(狛江ハイタウン折返場発着)廃止問題について

大変長いので関心のある方にお読みいただければと思っています。

京王バス路線(狛江ハイタウン折返場発着)廃止問題について

突然の京王バス路線(狛江ハイタウン折返場―つつじヶ丘駅南口)(丘19)の2月末での路線廃止は、ハイタウンを含めた東野川3・4丁目の住民および、調布市入間町、世田谷区成城(主にパークシティ成城)の住民に大きな影響を与えています。この問題についての経過と調査結果、その後の問い合わせなどで明らかになった点について、3月2日時点でとりまとめ、報告します。

1、経過

2月22日、京王バスの「丘19」路線(狛江市の「狛江ハイタウン折返場」から、調布市のつつじヶ丘駅南口を結ぶ片道約14分の路線)のバス停に2月28日をもってバス路線が廃止されるとのお知らせが貼りだされました。
突然、通学、通勤、通院、買い物などの生活の「足」を失うことになった沿線住民からは、おどろき、困惑の声があがりました。
同時に、わずか一週間前に唐突に路線廃止が知らされたこと、また、その理由やその後の応策についてなにも示されなかったことから、各地で怒りの声も出されました。さらに、ハイタウン管理組合からは、狛江市に対して行政としての対応を求める要望も出されました。

2、路線廃止の理由

京王バスは路線廃止の理由について、公式に住民への説明はおこなっていません(3月2日時点)。2月27日に岡村しん狛江市議(日本共産党)とともに京王バス本社(府中市)を訪問し当面の路線廃止撤回を求める要望書を提出した際にも、京王バス側からの説明はなされませんでした。
路線廃止の貼り紙がなされた3月22日時点では狛江市に対しても何ら説明はなく、住民からの要請を受け狛江市が説明を求めたところ27日に京王バスより説明があったとのことです。その内容について道路交通課に問い合わせたところ、概略ですが、①コロナ前と比べて8割程度の乗客しか戻っておらず、赤字路線の整理に踏み切らざるを得なかった、②バスの運転手不足、③労働条件の改善という課題もあり、同路線「丘19」は廃止することとなった、とのことでした。

3、路線廃止の影響と住民らの取り組み

同路線が廃止されることでどのような影響が出るのかについて、京王バスや狛江市からは何ら説明がなされる様子が見られませんでした。そのため、独自に現地調査を行うこととし、ほぼ全バス便(31往復のうち30往復)に乗車して乗降者数をカウントし、また、影響を大きく受ける地域の乗降者等に対して、可能な範囲で個別に利用目的・頻度やバス路線廃止についての意見の聞き取りを行いました(乗降客数の集計表および聞き取り結果は別紙エクセル票)。
明らかになった主な内容は、以下の通り

●廃止される京王バス「丘19」路線は、狛江市・調布市・世田谷区の境界付近にある「狛江ハイタウン折返場」を出発し、「ハイタウン東」「小足立橋」「野川大橋」「明照院前」「たかや橋」「金子地域福祉センター」「郵便局前(調布市)」「神代団地北口」「西つつじヶ丘四丁目」「つつじヶ丘駅南口」の11のバス停を、ほぼ野川に沿って運行される片道所要時間15分弱の路線ですが、「明照院前―つつじヶ丘駅南口」の区間は京王バスの他路線及び小田急バスの複数の路線も運行されており、今回の路線廃止で直接大きな影響を受けるのは「ハイタウン折返場―野川大橋」区間で乗降する利用者(このエリアに居住する狛江市民・調布市民・世田谷区民と、このエリアに住む家族・友人などを訪ねたり、職場がある人)と考えられます。

●その数は今回の調査の結果(調査日はいずれも天候は晴れ)では、バス一便あたりでは最大で15人でしたが、一日当たりの総計では100~150人程度にのぼると推計されます。また、雨の日などはその数倍になることが予想されます。

●バス路線「丘19」の廃止により、これらの人がつつじヶ丘駅行きのバスを利用するためには「明照院前」バス停まで徒歩で行く必要がありますが、「ハイタウン折返場」から「明照院前」までは約750メートルあり15分程度かかります。

●高齢者や子ども連れ、歩行が困難な状態にある人にとって、また雨天時・手荷物が一定量ある場合などには、時間的な問題を含め大きな制約を受けることが否定できません。子どもをつつじヶ丘駅近くの保育所に預けて電車に乗り出勤しているという方からは「明日からどうしようかと困っている」との声も聞かれました。

●バス乗降時に廃線を知らせるために乗車していた京王バス職員に「廃止は困る」「なぜ廃止が必要なのか説明がない」などと詰め寄る乗客も複数見受けました。

●個別の聞き取りでは、一週間前の告知(2月22日)で突然バス路線を廃止するとした京王バスの対応に多くの怒りの声が聞かれました。買い物や通院の足がなくなる高齢者やベビーカーの利用を含む子ども連れのかたの困惑も大きいものがありました。また、ほぼ毎日のように通勤に利用している人にとっては突然朝の通勤手段の変更を迫られることになります。

●新たに「ハイタウン折返場」バス停を経由する「つつじヶ丘駅南口―調布駅南口」(丘14)の路線が設けられるとされていますが、これは朝(6時台)夕(17時台)にわずか1便ずつ運行されるのみです。これまでの一日31便が2便になるもので、まったく代替にはなりません。

●突然のバス路線廃止を知らない住民も多く、バス停に行って初めて知る事態となり、混乱する住民がでることも予想されます。

●廃止されるバス路線の影響の大きい区間(「野川大橋―小足立橋―ハイタウン東―ハイタウン折返場」)は、700メートル程の区間ですが、狛江市、調布市、世田谷区の3つの自治体にまたがる区間です。地域の公共交通を維持するために、京王バスに働きかけるとともに、狛江市などの自治体に対してなんらかの対策を取るよう求める動きも出ています。とくに、このエリアにある大規模マンションである、狛江ハイタウン(600戸、狛江市)、パークシティ成城(387戸、世田谷区)では、マンション管理組合として京王バスおよび行政機関への働きかけも行われています。「バス路線についての署名があるなら協力する」との声も聞かれます。

●狛江市は、狛江ハイタウン管理組合からの要請を受け、なんらかの対応を検討するとの方向が議論されているそうですが(道路交通課への聞き取り)、その内容はこれからという段階です。

4、今後の対応について

現在開かれている狛江市議会でもこの問題は大きな話題と一つとなり、複数の議員が取り上げるという状況になっています。このことから、当初日本共産党市議団としては、住民の利益を第一に考える立場から、超党派での取り組みにすることが大切だと考えています。同時に、日本共産党として、党国会議員団(東京ブロック事務所)と連携をとるなどしながら取り組みをすすめていきます。具体的には、京王バスに対する交渉および各自治体や関係機関に対する聞き取りや申し入れなどが考えられます。
いずれにしても、京王バスや狛江市が参加する「住民説明会・懇談会」の場を設けるよう求めることが必要と考えます。
そして、そのさいに具体的にどのような要望を掲げるのかという点については、地域住民のみなさんの要望をお聞きしながら決めていくことになりますが、現段階で考えられることについても、以下、整理しておきたいと思います。

[具体的要求方向](重国私案)

路線復活を求めることに関して

廃止されたバス路線が復活できればそれに越したことはありませんが、現状でそれを追及することがすばやい問題解決の手段となりうるかといえば、困難ではないかとも考えます。もちろん、今回廃線となった「丘19」について、現状の31便からの減便という対応は考えられなかったのかについて確認する必要はあります。
また、大幅な乗客数増が見込めない中で、赤字補填を自治体が行うことも一つの手段ですが、これはこの路線のみの補填というのは他の路線との関係でもハードルが高いことが予想されます。
そして同時に、同路線の復活でなくとも、一定の代替手段があれば、住民の要求を一定満たすことができるのではないかとも考えます。その点を以下に述べます。

代替手段について

①ハイタウン折返を経由する京王バスの「つつじヶ丘駅←→調布駅(丘14)」の便数を現在の朝夕1本ずつ(計2本)から大幅に便数を増やすこと(1時間に1本など)

②京王バスに限らず「明照院前」を通過する路線バスについて、「ハイタウン折返場」経由便を設けること

③こまバス(狛江市のコミュニティバス)の運行ルートに「ハイタウン押返場」経由のルートをつくること

④「ハイタウン折返場」から「覚東」バス停(丘19ルートではないが近隣バス停)または「明照院前」を往復するなんらかの公共交通機関(グリーン・スロー・モビリティなど)の整備を早急に行うこと

などが考えられます。
これを、現状の利用者数や利用時間など、住民や来訪者のニーズをふまえて具体化することが必要と考えます。そのためには、京王バスおよび狛江市等の行政が住民の要求に向き合うという立場を明確に持つことが必要であり、関係住民のみなさんと力を合わせていきたいと考えています。
以上